ローズマリー

 薬草園では、生け垣のようになったローズマリ-が、花の最盛期です。
ローズマリーには高さが2mにも成る立性タイプと、草丈が30~100cmの半匍匐性タイプがあります。花色もブルー、淡いブルー、ピンク,白などがあります。よく繁って姿がまとまりやすいので、庭木や境界垣などにも利用されています。

  原産地は地中海沿岸の常緑低木で、日本には中国を経て文政年間(1818~1829)に渡来したといわれています。和名はマンネンロウといい、「万年蝋」又は「万年朗」と書きます。触れるとべとべとする触感から蝋のようだ、常緑であることから永遠の青年ということが文字の由来でしょう。和名より英名ローズマリーの方が一般的です。樟脳にも似た香りは強く、好き嫌いの分かれるハーブですが、料理の肉(特にラム)の匂い消しや魚の香草焼き、スープやシチューなどの煮込み料理に、ブーケガルニにして用いられています。

 

 お茶を入れるのと同じ要領で作る液を、侵出液といいます。

この侵出液はハーブティ-として飲用できまし、他にも化粧水、ヘアリンス、入浴剤などに用いられています。

 

 また精油(水蒸気蒸留にかけて成分を抽出したもの)は、血液の循環がよくなり身体のむくみを取り除いて新陳代謝促進し、改善されることによってリウマチや痛風の痛みには有効です。精油のもう一つの効能は、神経系の回復促進する作用があることです。このことからロ-ズマリーは古くから「若返りのハ-ブ」、「記憶力増進するハ-ブ」といわれ、最近では“認知症予防のハーブ“として注目されています。

また1600年頃書かれたシェークスピアの悲劇『ハムレット』には、オフェーリアが“私を忘れないでという・・・“といってローズマリーを差し出す場面があります。その時代でも、人々は香りが記憶に作用することを体感していたのかもしれません。

“若返り”といえば、「ハンガリー王妃の水」の話があります。
リウマチによる手足の痛み、痺れで苦しんでいたハンガリーの王妃エルジェ-ベトに、尼僧はローズマリーを主成分とした水を献上し、それを飲用した王妃は健康を取り戻すことが出来て、70歳を超えてポーランド王に求婚されたという話です。歴史的にみれば、どうも創作されたようですが “ハンガリアンウォーター” として名を残しているのです。

ハンガリアンウォ-タ-は簡単に作ることが出来ますよ。作り方はこちらから。

ローズマリーには逸話がたくさんありますが、[四人の泥棒の酢」という話もあります。ヨーロッパでペストが流行した1630年フランスのトゥールーズで死者の出た家から荒稼ぎしても、ペストに感染しなかった四人の泥棒が捕まり、何故ペストに罹患しなかったのかを “無罪にする” という条件で質すと、「秘密の液」を飲んだり肌にすり込んでいたからと白状しました。

「秘密の液」とは、ロ-ズマリ-、セ-ジ、タイム、やラベンダ-を酢に漬け込んだお酢のことだったので、この酢のことを「四人の泥棒の酢」と呼び、商品化されたそうです。これは、私たちが「ハーブビネガー」と呼んでいるもののことです。


 今でも○○は××によいと報じられると、翌日には○○は売り切れになるほどですから、その「秘密の液」即ち[四人の泥棒の酢」は、見えない敵と戦わねばならない当時の人々にとっては、特効薬にも思え、爆発的に売れたのではないかと思いますが、果たしてどうだったのでしょう。

 

花を愛でたり、香りを愉しむだけではなく、もっと生活に利用されても良いハ-ブとして、お勧めしたい植物です。

学  名:Rosemarinus officinalis
科  名:シソ科
生 薬 名:迷迭香(メイテツコウ)
利用部位:葉
薬  効 : 殺菌作用と酸化防止作用のある葉は食品の保存を助けます。
収斂、消化促進、発汗作用、抗炎症作用、老化抑制作用、神経系の快復促進作用。
用  途:殺菌作用、酸化防止作用⇒料理に(生葉でも乾燥葉でも使えます)。
     ◇浸剤:・ティーとして飲用。
        ・風邪、インフルエンザ、リウマチの痛みに。
        ・消化不良には熱い浸剤を飲用.  

        ・ 捻挫にはガーゼに浸して外用します。
                  ・ ヘアリンスに。
              ◇精油:・浴槽に10滴ほど入れる⇒神経疲労に対して刺激薬として。
         ・マッサージオイル⇒植物性オイルで25倍に希釈して関節や

          筋肉の痛みに。                           
成  分:1,8シネオール、カンファー、ボルネオール、酢酸ボルニル、β-カリオ 
     フィレン

 

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